事前分布に用いられる確率分布をリストします。パラメーターが実際にどの範囲の値をとりうるのか、という視点から整理します。
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とる値に制限のないパラメーター
該当するパラメーター:偏回帰係数など
正規分布 dnorm
一様分布 dunif
#Prior b ~ dnorm(0,0.0001) b ~ dunif(-1000,1000)
正の値をとるパラメーター
該当するパラメーター:分散
(逆)ガンマ分布 dgamma
一様分布 dunif
正規分布(truncationつき)dnorm
#likelihood y[i] ~ dnorm(mu, tau) # tau is a precision parameter #Prior tau ~ dgamma(0.0001,0.0001) # 精度(分散の逆数)に事前分布にガンマ分布を指定することで、分散の事前分布は逆ガンマ分布となる tau <- pow(sigma,-2); sigma ~ dunif(0,100) # SDに対して0-100の範囲をとる一様分布を事前分布に指定 tau <- pow(sigma,-2); sigma ~ dnorm(0,0.0001)T(0,100) # SDに対して0-100の範囲をとるフラットな正規分布を事前分布に指定
備考:逆ガンマ分布について、Gelmanさんらにより無情報ではないという指摘がされていますが、この問題は分散の推定値が小さいときに顕著になるようです(Gelman and Hill 2007)。一方、一様分布は無情報すぎて、複雑なモデルでは収束しにくい傾向にあります。経験上truncated Normalが一番使い勝手がいいように思います。なお、ランダム効果のグループ数が少ない場合、ばらつきの推定が非常に難しくなります。そのような場合はhalf Cauchy分布を用いるとよいらしいです(Gelman and Hill 2007)。
Gelman and Hill 2007 Data Analysis Using Regression and Multilevel/Hierachical Models
0~1の値をとるパラメーター
該当するパラメーター:生存率、発見率などの確率パラメーター
ベータ分布 dbeta
一様分布 dunif
#Prior s ~ dbeta(1,1) #無情報事前分布に該当 s ~ dunif(0,1)